たとえば、上方落語にこういうのがあるという。
〈「こいこい」と呼ばれて、おいしい御馳走にありつけるかとよろこんで駆けていった犬が、しょんぼりして戻って来る。
「あかん、坊んに小便(しし)やってなさったのや」〉
●江戸の風刺家、寺門静軒の「江戸繁盛記」という本には、こんな話が書かれているそうな。
〈下町の道ばたに、黒と白、赤にぶち、いろいろな犬が集まっている。見ると一人の小僧が、「白や、白や」と呼んでいる。白がすぐに起き上がって、尾を振って走っていった,赤と黒とが顔を見合わせ、
「あいつまた呼ばれやがって、うまい餌にありつくぞ」
といっていると、白はほどなくしょげこんで戻って来た。みんながその顔を見ると、両方に眉が黒々と描いてあった〉
(以上、毎日新聞社刊 「日本の生活文化史1・犬と猫」岡田章雄著より)
●どうも犬には、こういうしよぼくれた話が似合う。そして僕は、そういうナサケない″駄犬″というやつが大好きである。
●そういえば、旅先でこんなことがあった。
木材消費国--どぎつい言葉でいえば"世界の森林破壊者"であるわが国の責任を追及する国際世論の強まりに対処するため、日本国政府は「割りばし」の段階的規制・消費削減の乗り出す方針をかためている、とのウワサがある。
農水省、環境庁関係筋などからの情報を総合すると、一部の閣僚からは、
「割りばしの主原料は間伐材なので、利用を全廃したところで大した木材節約効果は望めない」
といった声も上がったらしいが、
「国民の木材消費に対する意識向上をはかり、同時に日本政府の積極的な取り組み姿勢を海外に印象づけるには、やはり最も身近な木材使い捨て行為である割りばしに手をつけるのが順当」
という方向で決着し、近日中に具体案の検討のため、諮問(しもん)機関「割りばし規制審議会」(略称ワリシン)が設けられる、というところまで話は進んでいるらしい。
ある民放TV局の喫茶室。報道とドラマ、活躍の舞台は違うが親友同士のプロデューサー仲間--S氏とT氏が何か話し合っている。T氏の相談にS氏がのっているらしい。
「するとT君としては、その新作ドラマの制作は中止したいわけだな」
「個人的にはな。ところが問題はスポンサーでね。強硬に"このままやれ"といってきかない。修正案や代案は、ことごとくボツになっちまったよ」
「しょせん視聴者とスポンサーには勝てないってわけか……。それにしてもいったいなぜ? 具体的に教えてくれないか? 夏から放映予定のそのドラマって、どういう内容なんだ?」
「読んでみたまえ。これが企画書だ」
8月×日午後11時50分、本日最終のニュースです。
本日の夕方から奇妙な「うわさ話」が日本全国を飛び交い、電話回線がパンクするなどの混乱が起きました。
混乱は徐々に下火になりつつあり、午前0時すぎには終息する見通しですが、NTTをはじめ、殺到する問い合わせ電話の応対に追われるマスコミ各社なども、「再発もあり得る」と見て引き続き警戒を強めています。
レポーター「そこのおふたかた、ちょっといいですか?」
通行人A「ソリー、アイキャントスピークイングリッシュ」
レ「私、日本語で話してますよ。ドイツのテレビ局の特派員です」
通行人B「あ、ドイツの人でしたか。そりゃどうも、ぐ、グーテンベルク。じゃ、さいなら」
レ「ちょっと待ってください。少しお話聞かせてください。日独は第2次大戦当時の同盟国で、同じように敗戦を体験し、今は経済大国になっている。そんなふうに共通点が多い日本の一般市民が、今、ドイツという国をどう見ているのか。それが知りたくて街頭インタビューしています。あなたがたは最近のドイツについて、何が最も印象に残ってますか」
*
さて今月は、ソ連のある新聞の投書欄に掲載された投稿を紹介します。モスクワ在住の日本人S氏が翻訳して筆者に送ってくれたのですが......うーむ。どうやら相当な知日家が書いたもののようで。
●新幹線をシベリアに!
日本の1991年度予算案づくりが今たけなわだが、とくに焦点となっているのが"整備新幹線"の財源問題だという。
日米構造協議により、日本はむこう10年間で430兆円の公共投資をおこなうことになった。それに刺激されて"おらが地方に新幹線を"の声が各地で一気に高まったわけだが、運営を担当することになる日本の鉄道会社・JRは渋い顔らしい。
なにしろ日本政府は、既存の新幹線のJRへの売り渡し価格を1兆円上乗せし、それを新線建設の財源にあてようとしているのだ。さすがはマネーゲーム国家・日本というべきか......ともあれ、"民営化"という名のペレストロイカの渦中にあるJRが難色を示すのも無理はない。
ところで、"金食い虫で、フタを開ければ大赤字路線"といえば、わが国にも全長3千キロに及ぶ同類があることを同士諸君はご存知だろう。そう、バム鉄道(※)のことである。
<お願い>以下の文中に用字用語の乱れ、意味不明の言い回し等がございましても、"わけあってそのようになっている"のだと解釈くださるようお願い申しあげます。
「ウェル、バットわたくし思うのですが、一番目に、テーマそれセルフに問題があるよ。いまさら『流入の問題』といっても、アクチュアリー流れ込んでいるのが現実。これはメイビー、ひとりもいない人が止められる現象だよ」
司会進行役のジャーナリスト、サストロアミジョヨ田原氏(インドネシア系)の第一声の腰を折って、社会経済評論家、マイケル栗本氏(アメリカ系)の横ヤリが入った。
199×年春、「日本は核兵器を保有している」という噂がなぜか突然広まり始めた。
政府が否定すればするほど話に尾ヒレがつき、「中距離核を搭載したハイテク原潜を建造した」だの、「いや、戦術核を積んだ巨大ロボット型の水陸両用兵器らしい」などと、コミックかアニメに出てきそうな話が、まことしやかにささやかれ出したのである。
国会でも、「よそからそう思われてるなら、持てばいい」などと言い出す議員が飛び出し、騒ぎは拡大するばかり......そんなある日、時の内閣総理大臣Kは、次のような"重大発表"を、テレビを通じておこなったのだった。
1990年11月末に開かれたプロ野球ドラフト会議の話題の主役は亜×亜大の×池秀郎投手。なんと8球団から1位指名が集中し、抽選の結果×ッテ・オリオン×が交渉権を獲得したものの、本人が拒否、社会人野球に進むことになったのは記憶に新しい。
この×池投手、12月3日に×ッテ側と会見した際、レポート用紙数枚の「拒否宣言メモ」をスカウト部長に手渡したという。筆マメな人ですね。頼めば『PB』に手記を書いてくれるかも......なんてことはともかく、じつはいま筆者の手元に、その×池投手の「拒否宣言メモの下書き」というモノがある。
大地震のショックもさめやらぬ某国某市では、市街復興を推進するために急きょ「震災復興特別委員会」が結成され、精力的な活動が始められた。
「なにはともあれ、世界屈指の地震大国であり、耐震設計の先進国とされるニホン国トーキョー都に委員を送り込み、その先端技術の実態をつぶさに視察して、都市設計見直しの手本とするのがいいのではないか」
そんな意見が委員たちのあいだからあがり、さっそく視察団の一行がトーキョーへと旅立った。
「やー、どうもどうも。お国の震災はなかなかすごかったですね。私もあのハイウェイ事故現場をニュースで見ましたが、それ以来サンドイッチに手が出なくなりましてねえ」
ナリタ空港で一行を出迎えた所属不明の国家公務員氏のジョークに顔をしかめながら、視察団はバスでトーキョー都内にむかった。