「日本のアート・バックウォルド」

 あらためてのご案内ですが、昨日(ん、おとといだったかな)、「Bunny Y's works」という表題のウェブログをオープンしました。

 この新しいサイトでは1990年前後、雑誌「月刊PLAYBOY」(集英社)の巻頭(!)に連載していたコラムを順次復刻しています。ウェブログ表題の「Bunny Y」というのは、当時このコラム連載専用に使っていたペンネームが「バニー柳沢」というあやしげなものだったことにちなんでいます。

 知名度の低い一介のフリーライターであった(今もですが)ぼくですが、どういうわけか当時の同誌編集者・Kさんに、

「日本のアート・バックウォルドになりませんか?」
 
 みたいなものすごい殺し文句を突然言われて書きはじめたものです(アート・バックウォルドはアメリカの一流コラムニスト)。

 とくに連載の初期には表紙をめくってすぐの「巻頭ページ」という超ヒノキ舞台に掲載され、毎月わずか1ページの原稿に正味1週間以上かけ、七転八倒しながらこの原稿を書いていました。

 と、こうやって書いてても当時の緊張がよみがえってきますが、2年ほど続けたところでKさんは別の部署へ異動ということになり、その後も他の担当者のもとでしばらく続けたものの、残念ながらテンションは下がり気味となり、とうとう連載そのものが「空中分解」してしまいました。
 いまいち新しい担当者のかたと波長があわなかったのも一因でしたが、

・書いてから雑誌が出るまで1~2週間かかってしまう「月刊誌」で「時事ネタをパロディ風に料理したコラム」を書く。

 ということ自体に毎回苦しめられ(タイムラグが大きいため、どうしても使えるネタが限られてきてしまう)、とうとうパンクしてしまった、みたいな面もありました。
 末期には開き直って、まさにその月刊誌の限界そのものをネタにした話を1本書き、ほどなく連載は終了ということになりました。

 10数年たった現在、あらためてぽつりぽつり読み返してみると……うーん、今読んでも面白い(あるいは、今だからかえって面白い)部分と、まったくそうでない部分が入り混じってる感じで、なかなか本人の心境も複雑ですが、とにかく一度のこの仕事の足跡はきちんと振り返っておきたいナと思って、復刻を試みることにしました。

 バブル崩壊前後の時代の思い出話に関心があるかた、あるいはアート・バックウォルドをご存知のかたは、そういったことを念頭に置いて読んでいただくと少し余分に楽しめるかもしれないですネ。

 なお、当面、毎日ないし数日に1本ずつ復刻作業をしていく予定にしています……って、このペースなら1ヶ月かそこらでもうネタ切れになっちゃいますけど、復刻が終わるころには、「タイムラグを気にせずに書ける媒体」であるここ(ウェブログ)を舞台に「新作」にも挑戦してみようか、なんてことも思ったりしてます。
 でもまあ、予定は未定であります。