映画やTVドラマの撮影での「演技スタートの合図」は大別2パターンあります。
(1)演出スタッフ(監督やチーフ助監督など)の、「よーい......ハイッ」「よーい......スタートッ」「Ready......Action!」など、2段構えの掛け声にあわせる。
(2)【屋内スタジオでの撮影の場合】ひとしきりブザーやベルが鳴った後、演出スタッフが「5、4、3......」と秒読みを始める。2ないし1以降は声には出されないが、各自心の中で秒読みを続け、ゼロのタイミングで開始する。
特に(1)は陸上競技などを連想させますが、競技の世界では「スタートの合図まで静止していなければならない」のに対し、エキストラは逆に「スタートに間に合うよう、あらかじめ助走的に演技開始して動きを安定させておく」、つまり「フライングで演技開始する」ことのほうが基本です。
一例として「街を歩く通行人」の場合、「スタート」の掛け声がかかった時点では、すでに各自のリズム/スピードに乗って自然に歩いていることが必要になります。そうでないと、
「俳優がセリフをしゃべり始めたとき、背景の通行人の中に<いかにも今この瞬間に歩き始たような動きをしている人>がいる」
みたいなことになり、それがたった1人であっても、せっかく撮ったカット全体がNGになりかねないのですね。
このため、エキストラの場合は「よーい」(あるいは秒読みカウント2~1)の時点で動き出すのが原則となっています。
個別に演出スタッフから指示があれば(それはそれで頻繁にある)別のタイミングで動き始めますが、とにかく「何も指示がなければ"よーい"で動き出す」ことは念頭においておきましょう。
2006年6月22日
2019年3月4日一部加筆修正