ぼくは「演劇専攻卒」なのだが、この専攻に進んだのは演劇が特別に好きだったからではなく、むしろ「創作・文芸系の人間としての自分を考えた場合の弱点」という意識があったからだった。つまり、
「小説とかは自発的に読めるけれど、演劇はどこからどう入っていいかわからない」
「ビジュアル要素も含むメディアという点では"漫画"に近い世界。学んでおけば何かの役にたつのでは」
……といった動機から、特に何の素養も基礎知識もなしに選択したというのが実情だった。
実際これをきっかけに、アングラ系から歌舞伎、人形浄瑠璃、大劇場での蜷川作品、浅草国際劇場のSKDなどなど、幅広く「演劇」の世界にじかに触れる機会を得たのは収穫だった。
結果的にはその経験が直接生きないまま何10年もたってしまったが、2000年代に入ってからは映像プロデュースの講座に通ったり、エキストラ事務所に登録していろんなドラマにちらちら映ったり、「それらしい方面」にも進出(?)中ではある。