1960(S35)

 春、青森県青森市浪打に転居、海岸沿いの合浦(がっぽ)公園にほど近い住宅地に住む。聖アルバン幼稚園(現存)に転入。
 夏のねぶた祭り、青函連絡船、十和田湖、海岸ぞいの浅虫温泉、山奥の総檜風呂の混浴温泉・酸ヶ湯(すかゆ)、冬は青森市内の雲谷(もや)スキー場でスキーを体験……など、3年間の青森での暮らしは思い出が多く、特別に懐かしい。
「読書好きの子供」というのが当時のぼくの看板で、実際、母に連れられて行った先で、その家の本をかたっぱしから読んでいたら、母がそのことを忘れて一人で帰ってしまった……という「息子置き忘れ事件」がこのころあったらしい(記憶はないけど)。
 自分で覚えていることとしては、書店で立ち読みした西遊記の漫画が非常に面白く、あとで親に買ってもらえることになって本屋に行ったらもう見つからず、しかたなく別の西遊記の漫画本を買ってもらった、ということがあった。
 あとからの推測だが、前者はおそらく手塚治虫の「ぼくのそんごくう 」、後者は山根一二三(ひふみ)という漫画家の作品だったらしい。